1:アプセット鍛造をするのに必要なロットの目安はどれくらいか?
一般的に、型鍛造では1ロットで2トン程度まとめて打つのが普通ですが、昨今の多品種少量もしくは変種変量、あるいはジャストイン(JIT生産)といわれる生産形態の中では、なかなかそうも言っていられないのが実情です。
そうした中、アプセット鍛造では最低100キロ、できれば300キロくらい単重が5キロであれば20〜60個以上、単重が20キロであれば5〜15個以上)まとめることがユーザ様、鍛造メーカともがメリットの出せる最低ラインになります。
2:アプセット鍛造品の「キロ単価」はどれくらいか?
この質問は、鍛造メーカが最も返答に困る質問です。
たしかに、材料は製鋼メーカからキロいくらのキロ単価で購入するわけですが、鍛造品はそれをいろいろな形に加工するわけですので、その加工度合いによってキロ単価も変わってくるからです。
特にアプセット鍛造の場合は材料の先端または中間を加熱して成形する「部分鍛造」ですので、全体の重量にキロ単価をかけて単価を決めるというのは無理があります。
また、少しでもお客様の機械加工の手間を減らすために取り代を減らしたり、軸径を細くしたりすると、重量は減りますから、それをキロ単価で評価されると 手間は掛けたのに逆に工賃が減るという矛盾が生じてしまいます。
しかし、やはりお客様はキロ単価を目安にされることが多いので、ざっとした目安を言うならば、鍛造賃のキロ単価は平均で80円/Kg程度、幅で50〜150円/Kg位が一般的なところです。
材質や難易度、ロットによっても変わります。
3:金型費はどれくらいかかるか?
金型の大きさ、構成によって違いますが、一般的な丸型の場合、1工程あたり5〜15万円くらいです。
アプセッタの場合はグリップダイが割型となりますので、さらに5〜10万円は高くなって1工程あたり10〜30万円になると思われます。
4:一般的に納期はどれくらいかかるのか?
これもものによって異なりますが、1週間から1ヶ月というのが一般的です。
材料を長尺で流しておいて常時在庫しておく場合は短納期に対応できますが、特殊材で随時材料商社から調達して鍛造する場合はその分納期もかかります。
さらに新規品で金型を新作する場合はそのための納期が1ヶ月前後かかります。
5:寸法精度はどれくらいか?
これは下記のJISに定められており、長さ、厚みなどについて並級、精級と分けて寸法公差が決められています。
JIS B0415
鋼の熱間型鍛造品公差(ハンマ及びプレス加工)
JIS B0416
鋼の熱間型鍛造品公差(アプセッタ加工)